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VC-SDRAMはNECが独自に開発した高性能なSDRAMです。VCはVirtual Channelの略称です。細かい技術的な解説はここでは述べませんが、理論上はSDRAMよりもはるかに効率的なアクセスが可能な構造になっています。
VC-SDRAMはPC133に準拠した133MHzで駆動されるものが一般的でした。対応チップセットはVIAのApollo Pro133AやApollo KX133などでしたが、実質的に利用されたのはほぼApollo Pro133Aにおいてのみで、チップセットの対応にかかわらず、マザーボード側で一切サポートしないという製品もありました。
このメモリにおける最大の問題は、マザーボードとの相性問題が激しく、実際のパフォーマンスもSDRAMと大差ないという点にありました。それでも、普及率の高いチップセットでサポートされていたため、通常のSDRAMとほぼ変わらない程度の価格なら興味本位で導入するユーザーも少なくなかったと思いますが、SDRAMよりも高価だったため、そういった需要も掘り起こすことはできなかったようです。VC-SDRAMは何よりも相性問題が泣き所のメモリでした。
VC-SDRAMは通常のSDRAMとほとんど同様のDIMM形状で提供されます。そのためマザーボードがサポートしていれば、通常のDIMMスロットに装着して利用することができるというのが長所のひとつでもありました。しかし、一見簡単そうに見える利用方法ですが、対応を明記しているマザーボードでも正しく動作するとは限らないという不安定な部分があったことも事実です。正しく動作しているようであっても、ベンチマークテストを行ってみると通常のSDRAMより低いパフォーマンスしか出ないということも少なくなかったようです。これはマザーボード側のVC-SDRAMに対する調整が進んでいなかったためとも考えられますが、その後も改善が進んだという話はあまり聞きません。
あまりに相性問題が激しかったためか、主な供給メーカーのメルコから、ASUSTeK製マザーボード専用と銘打ったVC-SDRAMモジュールまで発売されました。国内ではASUSTeK製品のユーザーが多かったためと思われますが、それでも、この製品が好評だったという話は聞きません。雑誌の紹介記事で行われたベンチマークでも、ASUSTeK製マザーボード用に調整されているにもかかわらず、期待したほどの数値は出ていなかったと記憶しています。
相性問題がVC-SDRAMの最大の欠点だったことは確かですが、それ以外にも、価格の高さという大きな欠点がありました。実質的にNECチップを使用したメルコ製品しかなかったため、基本的にはパッケージ販売ということになります。それでも128MB のPC133 CL3 SDRAMが1万円以上の価格を保っていた頃には数千円程度の価格差に収まっていたため、価格面でのデメリットが表面化することは少なかったようです。しかし、2000年の後半から急激にSDRAMの価格下落が始まり、これを書いている現在では128MB のPC133 CL3 SDRAMは2,000円を切ってしまっています。パッケージ製品は通常大きく価格が変動することはないためまずそのような価格になることはなく、ユーザー側が、大きな性能差がなければ安価なSDRAMで大容量を搭載した方が良いと考えるのは、ごく自然な成り行きといえるでしょう。
プラットフォーム面での対応も進まず、性能的にも本来の実力が発揮できないとなれば、人々から忘れ去られるのも時間の問題です。人々がVC-SDRAMの存在を忘れている間に、メモリモジュールの主流はSDRAMからDDR SDRAMに移行しました。DDR SDRAMが普及したことで、帯域幅で劣る上に対応も進んでいないVC-SDRAMの存在意義はますます薄れてしまいました。たとえVC-SDRAMがDDRメモリへの「つなぎ」の役割を持ったメモリだったとしても、その役割は果たされたとはいえません。本来の性能を発揮できる環境が整っていれば高い評価を受けただろうと思われるメモリではありますが、結局のところその高性能は絵に描いた餅でしかないままに終わってしまいました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| VC-SDRAM | |
| 駆動クロック周波数 | 133MHz(PC133の製品のみ存在を確認) |
| データ幅 | 64bit |
| CAS Latency | 2 |
| 帯域幅 | 約1GB/sec(1GB=1000MBで計算) |