Rage Fury MAXX

日陰のハイエンド

メーカーATI
ジャンルビデオカード
発売時期2000年初頭
性能★★★
マニア度★★★★☆
影響度

NVIDIA、3dfx、Matrox等数多くのビデオチップベンダーがしのぎを削っていた時代、ATI Technologiesといえば、ビデオチップの性能面では先頭集団にやや及ばないながらも、TVチューナ機能を統合したビデオカードAll-IN-WONDERにより独自のユーザー層を獲得していました。Rage Fury MAXXは、そのような時期にATIがハイエンド向けとして投入した製品です。特に、Windows98上で3Dゲームを高い性能で動かすことを主眼に開発されました。

ATI渾身の力作、しかし…

Rage Fury MAXXはRage128 PROチップを2個搭載し、MAXXテクノロジーという技術により、2個のチップは並列に動作することが可能です。また、1個のビデオチップにつき32MBのビデオメモリを搭載しています。ただし、並列動作可能なのは3D描画時のみで、通常のWindows画面の描画(GDI)ではビデオチップ1個の単独動作になります。2個のビデオチップは3D描画時、偶数フレームと奇数フレームをそれぞれが担当し、交互に描画します。ATIは、この並列動作の技術をAFR(Alternate Frame Rendering)と名付けています。

登場当初、この製品の実勢価格は4万円前後でした。しかしそれから何か月もたたないうちに2万円前後まで下落し、その後市場からほとんど姿を消してしまいました。これほど短期間のうちに市場価格が大きく下落してしまったことにはもちろん理由があります。

MAXXの悲運

Rage Fury MAXXという製品は、残念ながら、登場した時点で敗北が決まっていました。その決定的な理由は、NVidia製ビデオチップの力作、GeForce256の存在です。すでに発売されていたGeForce256は、現在のNVIDIA独占状態の基礎を築いただけあって、ハードウェアT&Lという革新的な機能を持ち、さらにはソフトウェア描画もまた革新的といえるほどに高速化されていました。Rage Fury MAXXは、そのGeForce256と真っ向から勝負しなければならない宿命を背負っていたのです。

ゲーム用のハイエンドビデオカードとして発売されたRage Fury MAXXですが、その性能はどの程度だったのでしょうか。当時主流のDirect3Dベンチマークであった3DMark2000のテスト結果では、16ビットカラーでのDirect3Dの性能は、およそRIVA TNT2 Ultraと同等か、やや勝る程度でした。また32ビットカラーではNVidia製ビデオチップよりも性能が低下しないため、32ビットカラーに限れば、ビデオメモリがDDRでないGeForce256チップ搭載ビデオカードと同等かやや劣る程度の性能であったようです。ただ、多くの3Dゲーマーはこの頃、表現力よりも描画速度を重視して16ビットカラーでゲームをプレイしていたと考えられるため、実用上最も重要な16ビットカラー時を考慮すると、総合的には微妙な性能だったといえるでしょう。

Rage Fury MAXXが発売されたときにはすでにGeForce256搭載ビデオカードが普及期に入ろうとしていた頃なので、性能面では最初から不利だったことは否めません。しかし、並列動作のために採用されたビデオチップRage128GL PROが、当時においてもやや古く、GeForce256と真っ向から勝負するには心許ない性能であったこともまた事実です。そのために本来ハイエンド向けとして投入されたはずのRage Fury MAXXの位置付けは結局中途半端なものになり、普及しないまま販売価格が下がっていくという状況に陥ってしまいました。

そして忘却の彼方へ

Rage Fury MAXXの登場後、ビデオカード業界ではさまざまなことがありました。私が最も衝撃を受けたのは、NVIDIAのGeForce2GTSチップの登場でした。革新性という面ではGeForce256には及びませんが、当時圧倒的な性能を誇っていたGeForce256からわずか半年で、およそ2倍の性能を持つ後継チップが登場したことは驚愕に値します。3dfxからのVoodoo4/5の登場、MatroxがG800を発表すると言いながらG450でお茶を濁したこと、GeForce2MXやRADEONの登場など、ビデオチップ業界の勢力図は大幅に変化しました。さまざまなビデオチップが登場し、Rage Fury MAXXはビデオカードの歴史の陰に隠れ、忘れ去られてしまったのでした。

RADEON発売以前、ATIはMAXXテクノロジーにそれなりのこだわりを持っていたようにも見受けられます。RADEONの発表時、製品展開として、RADEONチップを用いたMAXX版ビデオカードの発売も示唆していました。しかし、Rage Fury MAXXにおいてもドライバのいくつかの細かな不具合は解消されず、製品としてそれほど大きな位置を占めるにまでに至らなかったため、ATIはすでにこの技術に見切りをつけたのではないかと私は考えています。また、ATIのサイトにあるFAQによれば、ドライバの開発中に、Windows2000ではビデオチップの並列動作ができないことが判明したため、サポートを断念することになったということです。

しかし、実はその後、ATIのサイトでWindowsXP用のドライバが公開されています(訂正ATIのドライバのページによると、このドライバはWindowsXPのCD-ROMに含まれているようです)。詳細は説明されていませんが、もしこのドライバで2個のビデオチップが設計どおりに動作するというのなら、ほぼ同じ基本部分を持つOSであるWindows2000で動いていてもおかしくなかったのではないでしょうか。結局この真相は闇の中のまま、Rage Fury MAXXも他の幾多のビデオカードと同じように、忘れ去られていくのでしょうか。

Rage Fury MAXX データ

Rage Fury MAXX 主要データ
項目内容
Rage Fury MAXX
コアクロック135MHz
メモリクロック155MHz
ビデオメモリ容量32MB+32MB
描画機能AFR(Alternate Frame Rendering)
その他の機能なし
冷却ヒートシンク+ファン x2
基板サイズ約19cm×10cm(ブラケット部、端子部含まず)
インタフェースAGP 2X/4X

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