少々古い話ですが、Windows 9xの環境を他の HDD に丸ごと移植する手順です。Windows NT系(Windows Vista/XP/2000)には適用できないので注意してください。
何もツールを使わず、Windowsの機能だけで環境移植を行う方法もあるのですが、その方法では時間がかかるため、フリーソフトであるYUPDATEを使った方法を紹介します。
ワイ氏、KAZU.M氏作のYUPDATEというソフトがあります。本来はマルチボリュームバックアップのためのソフトですが、このソフトを応用することにより、少ない手間で、使用中のWindowsシステムのほぼ完全な移植が可能です。まず、YUPDATEの最新版をダウンロードしてください。
YUPDATEのバージョンは2.59を使ってください。それ以外のバージョンでは確認していません。
まず、Windows起動ディスクを作ります。コントロールパネル>アプリケーションの追加と削除から、Windows標準の起動ディスクを作るか、充分な空き領域のある起動ディスクを作ります。
YUPDATEの配布ファイルを展開してドキュメントをひと通り読んだら、起動ディスクにYUPDATE.EXEをコピーします。圧縮された配布ファイルには複数のファイルが含まれていますが、YUPDATE.EXEのみコピーすればOKです。Windows標準の起動ディスクの場合は、2枚目のディスクにコピーしてください。
基本領域(Cドライブ)のだいたいの使用量を確認しておきます。後で新しいHDDに領域を確保するときに、ここで確認した使用量より大きい容量を確保します。
IDEのプライマリマスタに接続されていたHDDを外し、設定をスレーブに変更します。また、新しいHDDの設定がマスタになっていることを確認します。確認したら、新しいHDDをマスタ側に、古いHDDをスレーブ側に接続します。
YUPDATE.EXEの含まれた起動ディスクでPCを起動します。
FDISK.EXEで新しいHDDに基本MS-DOS領域を確保します。このとき確保する領域は基本MS-DOS領域のみで、他の領域を確保しておく必要はありません。また、確保する基本MS-DOS領域の大きさは、今まで使っていたHDDの領域とは関係なく設定して構いません。ただし、今まで使っていたHDDの基本領域の使用量より小さい領域だと足りなくなるので注意してください。当たり前ですね。
領域確保が終わったら、再び起動ディスクで起動し直してドライブレターを確認します。プライマリマスタのHDDに基本MS-DOS領域を確保すると、ドライブレターはC:になり、今まで使っていたHDDの基本領域はD:になるはずです。しかし間違うと大変なことになるので、DIRコマンドで今までのシステムが入っているドライブを確認してください。
ドライブレターを確認したら、確保した基本MS-DOS領域をフォーマットします。余談ですが、フォーマットやスキャンディスク、デフラグにかかる時間を考えると、システム用の領域は4GB以下がおすすめです。
今までのシステムが入っていたHDDのWindowsディレクトリにあるSMARTDRV.EXEを実行します。これを実行しておくと、以後のファイルコピーが高速になります。これは省略しても構いません。
D:\WINDOWS\SMARTDRV
ここまでの下準備が終わったら、いよいよシステムのコピーです。以下のコマンドを実行します。
YUPDATE -X -NCWIN386.SWP D:\ C:\
D:\と書いた部分は以前のシステムが入っていたドライブです。必要に応じてドライブレターを書き換えてください。同様にC:\は新しく確保した基本MS-DOS領域なので、必要に応じて書き換えてください。-XはDOS上でロングファイルネームを扱えるようにするオプション、-NCは指定ファイルをコピーしないオプションです。win386.swpというファイルはWindowsのスワップファイルなので、コピーする必要はありません。また、-NCとWIN386.SWPの間にはスペースは不要なので注意してください。
指定するオプションによっては誤ってコピー元のファイルをすべて削除してしまうようなことも起こりうるので注意してください(-Dオプションは絶対に付けないでください!)。
最後に、YUPDATE ENDS SUCCESSFULLという表示が出れば、コピー完了です。
私はこの手順を、Ultra ATAカードのプライマリとセカンダリのマスタに接続したHDDで行いました。SMARTDRV.EXEを実行した状態で、使用量約1.5GBのHDDからのコピーにかかった時間は約10分でした。通常のIDEコネクタでマスタ側とスレーブ側に接続して行った場合、もう少し時間がかかるでしょう。また、ファイルをコピーしてからHDDの接続を変更するのが一般的な方法のようですが、ここに述べた方法を用いると、コピー後に起動パーティションをアクティブに変更する手間がなくなります。ただし操作を間違えるとコピー元のファイルをすべて削除してしまうことになるため、充分に注意してください。
この方法を用いることで、Windowsシステムのほぼ完全な移植が可能です。YUPDATEはロングファイルネームに対応しているので、日本語のファイル名からアプリケーションのインストール状態(ただしこの手順ではCドライブにインストールしてあったもののみ)、ショートカットまで完全に再現されます。実際に私はこの方法を用いてWindows98システムの移植を異なる構成で何度か行いましたが、HDD間の環境移植に関しては、この方法が最善だと思います。ただ、長期間に渡って使い続けてきたWindowsシステムはレスポンスが低下するので、本来はクリーンインストールするのが最良であることは言うまでもありません。
Windows標準の機能だけで行う方法も示しておきますが、現在のところ検証を行っていないので、途中で不具合が出るかもしれません。そのときは、自力で解決してください。
まず、コントロールパネル>アプリケーションの追加と削除から、Windows標準の起動ディスクを作ってください。この起動ディスクは、最後の段階で使います。
まず、HDDの増設を行います。初めてHDDを増設した場合は、プライマリスレーブとして接続するのが一般的でしょうか。新品のHDDはたいていマスタに設定されているので、スレーブ側に接続する場合はジャンパ設定を変更してください。今まで接続されていたHDDが1台のみだったところにHDDを増設したという前提で話を進めます。
「MS-DOSプロンプト」または「コマンドプロンプト」を起動し、増設したHDDに領域を確保します。FDISK.EXEを使いますが、「現在のハードディスクを変更」を行っておくことを忘れないでください。「現在のハードディスク:2」という文字が表示された状態で、FDISK.EXEを操作してください。
必ず、Windowsを再起動してから確保した領域をフォーマットしてください。また、フォーマットするドライブを間違えないようにしてください。増設したHDDはDドライブになっているはずです。
まず、Windowsの初期設定のままでは表示されていないファイルがあり、そのままではこれらのファイルをコピーできないのですべてのファイルを表示するように設定を変更します。フォルダオプション>表示で、「すべてのファイルを表示する」にチェックします。
スタートメニューから検索>ファイルやフォルダを起動し、「探す場所」を「C:」にします。次に、「名前」欄にwin386.swpと入力し、「検索開始」をクリックします。win386.swpファイルはたいていは、C:\Windowsか、C:\にあるはずです。
win386.swpファイルはWindowsの動作中にはコピーできず、コピーしても意味がないので、このファイル以外をコピーします。
まず、マイコンピュータ>C:を開きます。次にWindowsフォルダのみをクリックして選択します。この状態で「編集」メニューから「選択の切り替え」をクリックして、Windowsフォルダ以外のすべてのファイルとフォルダを選択した状態にします。
その後、「編集」メニューから「コピー」をクリックします。「上へ」をクリックして、今度はD:を開きます。最後にここで、「編集」メニューから「貼り付け」をクリックします。
コピーが終わったら、D:\にWindowsという名前のフォルダを作ってください。作ったら、まずC:の方のWindowsフォルダを開きます。win386.swpファイルを開き、上と同じ要領でwin386.swpを選択してから選択の切り替えを行い、D:の方のWindowsフォルダにwin386.swpを以外のすべてのファイルとフォルダをコピーします。
まず、マイコンピュータ>C:を開きます。次にwin386.swpファイルのみをクリックして選択します。この状態で「編集」メニューから「選択の切り替え」をクリックして、win386.swp以外のすべてのファイルとフォルダを選択した状態にします。
その後、「編集」メニューから「コピー」をクリックします。「上へ」をクリックして、今度はD:を開きます。最後に、「編集」メニューから「貼り付け」をクリックします。
非常に時間はかかると思いますが、これでwin386.swpを除くすべてのファイルが新しいHDDにコピーできました。ここからは最後の仕上げです。
新しいHDDをプライマリマスタに接続してください。必ずしも今まで使っていたHDDを接続しておく必要はありません。
この時点では新しいHDDからは起動できないので、Windows標準の起動ディスクで起動してください。
SYS C:
とすると、新しいHDDの基本領域にシステムが転送されます。
起動ディスクをフロッピーディスクドライブから抜いてから、再起動してみてください。
もし起動できなかった場合は、もう一度起動ディスクで起動し、FDISK.EXEを用いてCドライブの基本領域をアクティブに変更してください。
最初に述べたように、このWindowsの機能のみを使った方法の検証は行っていないので、うまくいかないかも知れません。また、非常に手間と時間がかかるので、ページの前半に書いてあるYUPDATEを使う方法の方がおすすめです。
バックアップするデータの合計容量がバックアップ先メディアの容量を越える場合に、複数のメディアにまたがって保存することをさします。ただしYUPDATEでは、1ファイルの容量がバックアップ先メディアの容量を越えることはできないようです。
PC Computing(現PC Japan)1999年11月号、ソフトバンク刊